氷点下20度の記憶と、まほら岩手の幻想夜
2026年2月14日と17日、ホームページ用の撮影を兼ねて、本州一の寒さを誇る「まほら岩手」を訪れました。ここは私にとって、0歳から中学卒業までを過ごした、まさに原風景そのものの場所です。
関東での42年間を経て、2年前にようやく戻ってきた故郷。真冬の夜にこの地へ足を踏み入れるのは中学生以来でしたが、車を降りて5分で確信しました。「ヤバい、この寒さは本物だ!」と。手袋越しでも感覚がなくなる指先が、温めるとジンジン痛むあの独特の感覚。一気に60年前の記憶が呼び覚まされました。
身体が覚えていた「氷点下の日常」
子供の頃の冬は、過酷でしたが、それ以上に五感を刺激する光景に満ちていました。朝、保育園へ向かう道すがら、目がチカチカするほどの光の粒。大人になってそれが「ダイヤモンドダスト」だと知りましたが、当時はただ顔や耳の痛みに耐え、凍りつくまつ毛を気にしながら歩いたものです。
日が沈む頃、川から白い煙のような霧が立ち上る「けあらし(気嵐)」が見えると、「今夜はヤバい、冷え込むぞ!」と身構えたものでした。その予感は的中し、静まり返った夜明けには、樹木が凍って裂ける「寒裂(かんれつ)」の音が、まるで鉄砲のように響き渡り、飛び起きたことも一度や二度ではありません。
家の中でも枕元に霜柱が立っているのは当たり前。たまの贅沢の炭酸ジュースを出しっぱなしにして夜中に破裂させたり、ツララをかじったり新雪にカルピスをかけては「汚いからやめなさい!」と母に叱られたり……。そんな日常がここにはありました。
厳寒が生んだ、奇妙で逞しい「遊び」
大人になった今でも忘れられない光景があります。堆肥場(牛の糞を溜める場所)だけ雪が解けており、大人がフォークでかき混ぜるたびに真っ白な湯気が立ち昇る。朝日を浴びたその煙の中に人の影が浮かび上がる様は、まるで舞台のスモーク演出のようで、子供心に「なんて綺麗なんだろう」と見惚れたものです。
遊びもまた、この寒さならではでした。近所の中学生のお兄さんたちが、1.5メートルもの積雪に器用に縦穴と横穴を掘り、出口が分からないほどの「巨大な雪の迷路」を造り上げたことがありました。中に入れられたお兄さんの飼い犬が、出られなくて悲しげに鳴いているのを、お兄さんたちが大笑いして見ていた光景が目に浮かびます。
登校路では、酔った大人が歩きながら用を足した「50メートル以上続く黄色いジグザグ線」の記録に驚愕し、自分も挑戦したものです(当時は10メートルが限界でしたが、還暦を過ぎた今なら記録更新の自信があります)。また、水路の氷瀑が日に日に巨大化し、「男性のシンボル」のような形になっていくのを観察するのも、冬の楽しみでした。
過去と現在が交差する場所
今回訪れた「まほら岩手」では、かつて私が一人で雪像を作ってはドカ雪に埋もれさせていた同じ場所で、圧倒的なスケールの「氷の世界」が造り上げられていました。
見上げれば、雪壁の向こうに『天空の城ラピュタ』を思わせるような星空と流れる雲。宮崎駿作品が大好きだった亡き妻も、きっと隣で感動してくれただろうな……そんなことを思いながら、あまりの寒さに負けて、足早に現実の世界(暖かい車内)へと戻ることにしました。
厳しい寒さを「幻想的な美しさ」に変えた、まほら岩手の挑戦。その光景は、60年前の少年が見た「不思議な煙」や「氷の芸術」の地続きにあるのだと、懐かしく誇らしい気持ちになった一夜でした。
まほら岩手 氷の世界 2026
本州一の厳寒地で味わう圧巻の感動体験!
厳しい寒さが続く岩手の冬。だからこそ出会える、息を呑むほど美しい奇跡の絶景があるのをご存知ですか?それが、冬限定の大人気イベント、まほら岩手「氷の世界」です。
会場に広がるのは、自然の厳しさと人間の技術が融合して生まれた圧倒的スケールの「氷の建造物」。太陽の光を浴びて青白く輝く氷の城壁は、まさに圧巻の一言です。ただ眺めるだけでなく、氷の滑り台など、大人も子どもも時間を忘れて大はしゃぎできる充実のアクティビティが揃っているのも大きな魅力となっています。
そして夜を迎えると、一帯はロマンチックな別世界へと姿を変えます。色鮮やかにライトアップされた氷の造形と、温かな炎が揺らめく「ともし火の街」は、幻想的で心が洗われる空間。厳しい寒さだからこそ生み出される、ひと冬だけの特別な時間があなたを待っています。
今しか見られないこの感動を、ぜひ大切な人と一緒に体感しに行きませんか?カメラとしっかりとした防寒着の準備ができたら、今週末はぜひまほら岩手へ足を運んでみてください。




































