⑩ 現在の高根沢御料牧場と昭和の下総御料牧場

現在の御料牧場

現在の高根沢御料牧場

主な目的

  • 天皇家の日常の食事や晩餐会などの公的な食事のための食材を提供する。
  • 儀式のパレードや、在日大使が着任時に皇居に挨拶にあがる際の馬車用の馬を生産・飼育する。
  • 在日外交団を招いてのパーティーや皇太子夫婦らの静養に利用する。

主な沿革

明治 8年千葉県下に内務省所管下総牧羊場及び取香とっこう種畜場設置
明治18年宮内省に移管、下総種畜場と称す
昭和17年下総御料牧場と改称
昭和44年新東京国際空港(現:成田国際空港)設置計画に伴い現在地に移転、御料牧場と改称、現在に至る

役割

御料牧場は、「皇室の用に供する家畜の飼養、農畜産物の生産及びこれらに附帯する事業を行う」ことを目的とした宮内庁の施設で、栃木県塩谷郡高根沢町・芳賀郡芳賀町にまたがる標高145mの丘陵地にあり、「皇室の牧場」として、外国大使の信任状捧呈の際の馬車列など皇室用の乗馬・輓ばん馬の生産を始め、各種家畜・家禽の飼養管理や牛乳・肉・卵及び野菜などの生産を行っています。また、皇室の方々のご静養の場として、さらには在日外交団の接遇等国際親善の場としても活用されています。

牛乳・肉・卵及び野菜などのホームメイドの生産品は、皇室のおもてなしとして、宮中晩餐、園遊会など内外賓客接伴のための各種行事に用いられるとともに、皇室の方々のご日常にも利用され、新鮮で高品質な物を生産することを心掛けています。また、農薬・抗生物質は対象に応じて定められた使用基準を遵守し、生産物の安全性の確保に努めています。

上記「主な沿革」と「役割」は、宮内省ホームページより抜粋

昭和の下総御料牧場

童謡・唱歌「おうま」の舞台 下総御料牧場

作詞 林 柳波 / 作曲 松島 つね

「おうま」

おうまのおやこは なかよしこよし
いつでもいっしょに
ぽっくりぽっくり あるく

おうまのかあさん やさしいかあさん
こうまをみながら
ぽっくりぽっくり あるく

おうまのおやこは なかよしこよし
いつでもいっしょに
ぽっくりぽつくり あるく

童謡「おうま」の歌詞は林柳波(はやしりゅう/1892~1974)が下総御料牧場を訪れた際、目にした馬の親子を元にして作詞したと言われている。正式には「おうま」だが、歌いだしの「おうまのおやこ」と言われる事が多い。林柳波は下総御料牧場を訪れた後、1931年に出版した詩集「水瓶」には次のような詩が掲載されている。

「三匹のお馬は親子です。
  牧場に住んでる親子です。
   いつでもならんで歩きます。」

資料提供:山本 順子(略歴)
昭和19(1944)年、第9代宮内庁下総御料牧場長田中二郎の次女として成田市三里塚に生まれる。和洋女子短期大学卒業。平成29(2017)年6月、成田市教育委員会主催「下総御料牧場の記憶」の写真展を賛同開催。平成30(2018)年11月成田国際空港株式会社主催「下総御料牧場の記憶」成田にかつて存在した皇室牧場写真展を賛同開催。船橋市在住。

著書:『宮内庁下総御料牧場の記憶』~成田空港に消えた日本で唯一の皇室牧場~
変遷『宮内庁下総御料牧場と千葉県営鉄道(軽便)多古・八街線』~昭和に消えた二つの歴史~