① 武者小路 実篤「新しき村」

武者小路実篤「新しき村」

理想郷を目指して

武者小路実篤とその同志により、理想郷を目指して1918年(大正7年)、宮崎県(旧日向国)児湯郡木城町に開村された。1938年(昭和13年)にダムの建設により農地が水没することになったため、1939年(昭和14年)に一部が埼玉県入間郡毛呂山町に移転し、残りは日向新しき村として存続した。

この村はただ生活するためのものではなく、精神に基いた世界を築く目的で開村されている。社会階級や貧富の格差や過重労働を排し、農業を主とした自給自足に近い暮らしを行う。

精神

  • 全世界の人間が天命を全うし各個人の内にすむ自我を完全に成長させることを理想とする。
  • その為に、自己を生かす為に他人の自我を害してはいけない。
  • その為に自己を正しく生かすようにする。自分の快楽、幸福、自由の為に他人の天命と正しき要求を害してはいけない。
  • 全世界の人間が我等と同一の精神をもち、同一の生活方法をとる事で全世界の人間が同じく義務を果たせ、自由を楽しみ正しく生きられ、天命(個性もふくむ)を全うする道を歩くように心がける。
  • かくの如き生活をしようとするもの、かくの如き生活の可能を信じ全世界の人が實行する事を祈るもの、又は切に望むもの、それは新しき村の会員である、我等の兄弟姉妹である。
  • されば我等は国と国との争い、階級と階級との争いをせずに、正しき生活にすべての人が入る事で、入ろうとすることで、それ等の人が本当に協力する事で、我等の欲する世界が来ることを信じ、又その為に骨折るものである。