臼澤みさきが歌う外山節
岩手には、多くの民謡や音楽、芸能が伝承されています。それは、厳しい自然の中で働き、暮らしを営んできた先人たちの喜怒哀楽や祈りの結晶であります。民謡や囃子を耳にすると、なぜか懐かしい気持ちにとらわれることがあります。今を生きる人々のDNAの中に、そうした音の記憶が組み込まれているからなのです。
臼澤みさきは、岩手に生まれ育ち、幼い頃から岩手の民謡にふれてきました。唄うときに目に浮かぶのは、ふるさとの海や里山の風景であるといいます。臼澤の声を聴いた人たちの脳裏には、思い思いの風景が映像を結び、「ふるさとを想う気持ち」が高まります。民謡のこぶしが、さらに望郷の心を震わせます。
外山節の由来
外山節は、盛岡市から北東約24km、いまの盛岡市玉山区にある県農業研究センター畜産研究所外山畜産研究室が、1891年(明治24年)「宮内省御料牧場」となり、御料地が開拓されたとき、村の人夫たちが歌ったのが始まりといわれています。のちに民謡歌手大西玉子が整調し、三味線伴奏をつけて、レコードに吹き込んでから、全国的に有名となり馬方節に並ぶ岩手の代表的な民謡の1つとなりました。