佐伯 郁郎

佐伯 郁郎

佐伯 郁郎【さえき いくろう】1901~1992

  • 明治三十四年江刺郡米里村人首に生まれ。本名は慎一。
  • 旧制盛岡中学、早稲田大学文学部仏文科を卒業後、内務省警保局図書課に勤務。
  • 昭和二十一年四月、岩手県庁に転任し、社会教育行政に従事。
  • 昭和二十年代後半には岩手大学の厚生課長を務める。
  • 定年後は、生活学園短期大学(現・盛岡大学短期大学部)の教授として、保育科の設立と発展に貢献。
  • 県社会福祉協議会常務理事、社会教育委員、岩手詩人クラブ初代会長等。
  • 主に、文化・教育・社会福祉の分野に尽力する。

佐伯 郁郎氏による「記事に見る外山情景」はこちら

野の子供たち / 佐伯 郁郎

野の子供達よ
七枚のハガキに
幼き足を運んでくれた
子供達よ
君達に拾ってもらった
二枚のハガキで
今や私のポケットは
はち切れるほどだ
失ったハガキが
何倍もの数になって
君達の心から
私の心に帰ってきたのだ

もう安心しておくれ
ハガキの事を忘れおくれ
そして、君達の一番好きだといふ

山を登り一緒に
それから皆で
彼処の丘で
「夕焼小焼 明日天気になアれ」
と歌はうよ
いつか、きっと果たすことに
私と指きりしよう

(大正15年8月13日~14日 岩手日報掲載)